哲学研究者の功木マキオは普段どんな本を読んで、何を考えているのか?自身の研究テーマである足利学校改造論からプライベートまで。情熱を持って書かせてもらいます。
 
2014/09/07 14:04:17|その他
この秋一押しの本が出ました。
連日雨でうっとうしい天気が続いていますが、皆さんは如何お過ごしですか?
本日はそのうっとうしい天気を吹き飛ばしてくれる、「哲学の秋」に相応しい素晴らしい本が出版
されたのでご紹介します。

8月31日に勁草書房から出版された「知覚の哲学入門」です。著者はウィリアム・フィッシュ
という気鋭の哲学者の人です。

哲学の歴史においては認識論のサブ・カテゴリーとして「知覚」は重要なテーマであり続けていま
す。「知覚」は私達の感覚器官を通じて入ってくる情報を受け取って認識する仕組みを指すのです
が、通常は特別意識されることはあまりありません。

ある時代まで「知覚」はある意味「哲学」にとって特権化された領域であったのですが、様々な理
由からマイナーな存在となってしまっていたのです。

しかし近年、認知科学や分析哲学、心の哲学などの最新の知見に基づき新たに脚光を浴びているの
です。「哲学」に興味の無い人にとっては理屈をこね回しているだけだと思われるかもしれません
が、この本に出てくる考え方は全て重要であります。

さらにもっと言えば「知覚」一般の考察には他にもカバーしなくてはいけない分野が多数あります


「知覚」はそれだけ奥が深く議論百出、百家争鳴の状態にあります。このことは何を意味している
のでしょうか?

我々が直面している重要な問題に引き付けて言えば、「映像だけでは心の座標軸になりえない」と
いうことなのではないでしょうか?

誤解の無いように申し添えれば、功木は映像のまちのコンセプトには基本的には賛成なのですが、
市民が主体化されればの条件付です。

ではインターネット時代の市民の主体化とは如何なるものなのでしょうか?

これははっきり言って誰も明確な答えは持っていないのかもしれません。第一線で活躍されている
方でも手探り状態なのではないでしょうか。

我々は試行錯誤しながらより良き道を模索して行くしか仕様がないのかもしれません。

その方向性への手がかりがこの本には隠されているかもしれません。功木はこの本を読んでそんな
気がしました。

秋の夜長に、じっくりと腰をすえて「知覚」について考えてみる。そのためには最高の手引きとな
る入門書だと思います。是非お薦めの一冊です。

Schluss fur heute!







2014/08/31 21:09:00|その他
And then

                                      Good job !!!        
 




                           








2014/08/31 20:49:50|その他
物理学の法則に抗して
読者の皆さん、こんにちは。功木です。

昨今、ネット上で非常に気になる問題が話題になっています。

この7月に大坂の屋台で「ハムスター釣り」なるものが現れて物議をかもしている件です。

1回500円でハムスターの餌を紐につけて釣るというもので、3匹釣れたら1匹もらえるという
仕組みになっていたそうです。

功木はこの件を初めてネットで読んだときに、とてもショックを受けて暗澹たる気持ちになりまし
た。

今までにも捕鯨やイルカをめぐる文化や価値観の違いからくる論争がありましたが、何処か遠い世
界の話のような気がしていました。しかし今回はハムスターという功木が最も愛してやまない動物
の問題なので他人事ではすまない気がしています。

先日の記事にも書きましたが、ハムスターという現在多方面から注目を浴びている動物ゆえの辛さ
ということもあるかもしれませんが、このことが大きなニュースになること自体が世間のハムスタ
ーへの注目の高さを表しているのかもしれません。

ハムスターがペット産業や漫画、アニメ業界以外に注目されているには訳があります。

ネット社会の急速な進展に伴い、我々人類にはテクノ・ストレスという負の脅威が襲い掛かってき
ています。しかし我々はその事に普段はあまり自覚的ではありません。

スマホやパソコンを長時間やっていると目や肩などだけでなくて、精神的にも疲労感を感じます。
これらを総称してテクノ・ストレスと呼びますが、ネット社会が我々にとって未曾有であるという
ことは、テクノ・ストレスも同様に未曾有であるのです。

一昔前までは雑誌の編集者など極度の精神の集中を要求される人々が、神経を鎮めるためにタバコ
をプカプカ吸うという光景が見られましたが、近年は健康上の理由からあまり見られません。

その未曾有の負の脅威に対して我々は何か有効な対処法を持っているのでしょうか?薬物などの方
法では体への副作用が心配です。

そこで今大注目されているのがハムスターという動物の癒し効果(我々は癒しのForceと呼ん
でいます)なのです。

全ての人々を笑顔に変えてしまう究極の癒し効果。ただ単に動物セラピーとしての観点からだけで
なくて、多方面からの全方位的な研究が進んでいます。

我々人類の将来に重大な影響を与える可能性が高い「ハムスター」という動物に対して、ただ人気
があるからとお金が儲かれば良いといった安直な考えでこの様な商売のネタにするのは如何なもの
でしょうか。

ハムスターは音に敏感でデリケートな動物です。屋台のように騒音が激しく狭い場所に大勢詰め込
まれる劣悪な環境に置かれたハムスターはストレスで死んでしまう個体もいるでしょう。

ハムスター好きの功木としては「ハムスター釣り」などというものがこれ以上広まらないことを祈
っています。

ハムスターはペットとして今後ますます人気が出るでしょうが、ハムスターを飼う前にちゃんと心
構えと準備をして飼って頂きたいです。そして何よりハムスターに対する愛情「ハムスター愛」を
持って飼って頂きたいものです。

Schluss fur heute!







2014/08/29 1:38:29|その他
今日の格言


動物の好きな人に悪い人はいない。---功木マキオ---








2014/08/28 23:25:24|その他
学校様夜想 on India
今日の昼間に新プラトン主義に関する本を読んでいたら、新プラトン主義の開祖のプロティノスと
インド六派哲学の一つであるサーンキヤ哲学との類似性を指摘するコラムが載っていました。

それとは別に、ある知人のFBを見たらとあるインドの映画を見に行ってきたという内容の記事が
載っていました。

その他にもここ数日インドというキーワードが功木の周りで渦を巻いています。この一連の共時現
象は何を意味しているのでしょうか?

確かに「足利学校」の研究者としては、インド及びインド哲学は正面から取り組まなくてはならな
いテーマではあります。このことは前回の記事でも少し触れましたが史跡・足利学校の初代庠主の
中村元先生がインド哲学及び仏教の世界的な権威であることからも自明なことであります。

さらに言えば中村先生の素晴らしいところは、東洋と西洋の哲学の総合という、これからの哲学の
進むべき道を指し示して下さっているところです。

中村先生の素晴らしいインド思想の関する著作に触れていると、自分の中でインド的な霊性の覚醒
を感じることが出来ます。

確かにこの方向性への足利学校再建は正論であり、功木も大賛成です。しかし現在の「哲学」を取
り巻く環境は非常に厳しいものがあり、生き残る為には「哲学」自体を環境に合わせて変化させな
くてはならないのです。

このことを我々は「哲学のカルチャー化」と読んでいます。

この「哲学のカルチャー化」においては越えなくてはならない壁があるのですが、そのためのヒン
トがインドにはある様な気がします。

今の段階でははっきりと言語化できないのですが、何となくそんな気がしています。

今後ともインドに関しては大注目して行きたいと思います。

Schluss fur heute!